大判例

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大阪地方裁判所 平成8年(行ウ)69号 判決

原告

西原順子こと

姜順子

右訴訟代理人弁護士

大宅美代子

東出勉

被告

大阪府公安委員会

右代表者委員長

大野眞義

右訴訟代理人弁護士

井上隆晴

青本悦男

細見孝二

右指定代理人

平塚勝康

津張八郎

森源一

谷村英司

寺本英司

事実及び理由

第三 争点に対する判断

一  争点1について

法二六条一項は、風俗営業の停止又は風俗営業許可の取消しの要件につき、「風俗営業者又はその代理人等が、当該営業に関し、法令若しくはこの法律に基づく条例の規定に違反した場合において、著しく善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害し、若しくは少年の健全な育成に障害を及ぼすおそれがあると認めるとき」と規定している。これは、その文理上、「法令若しくはこの法律に基づく条例の規定に違反した場合」という要件と、「著しく善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害し、若しくは少年の健全な育成に障害を及ぼすおそれがあると認めるとき」という要件の双方が満たされることを要求している趣旨と解される(以下、前者を「第一要件」、後者を「第二要件」という。)。

被告は、名義貸しに対する法定刑が、法の規定する罰則の中で一番重いことなどから、名義貸しは当然に第二要件を満たすと主張しているが、(1)名義貸しに対する法定刑(法四九条一項三号)に相当の幅があることからも窺われるように、名義貸しにも様々な態様があり得るのであり、それらのすべてが当然に第二要件を満たすものと法が予定しているとは解されないこと、(2)第二要件該当性の判断は、当該営業主体よりもむしろ当該営業態様の観点からなされるべき性質のものであること、(3)刑事罰は、第一次的には、過去の行政秩序違反に対する制裁を目的としているのに対し、営業許可取消処分は、将来にわたる行政秩序の維持ないし行政目的の達成に重点を置くものであり、一応その趣旨目的を区別することができることを併せ考えると、被告の主張は採用することができない。

もっとも、被告が指摘するとおり、名義貸しに対する法定刑は、法の規定する罰則中最も重いものであり(法四九条各項参照)、法が名義貸しをそれだけ重大な違反行為として評価していると解されることから、名義貸し行為が第二要件に該当する事実の存在を事実上推定させるものと解する余地もないわけではないが、法がその処分要件として第一要件とは独立に第二要件を定めている場合に、特段の法令上の根拠がないにもかかわらず、第一要件の充足をもって事実上第二要件の充足を推定し、被処分者において第二要件該当事由が存在しないことの主張立証の負担を負わせるとの解釈は、営業許可取消処分が国民の権利に対する重大な侵害となる処分であることに鑑みると、採用することはできないというべきである。

本件においては、被告は第二要件該当事由について何ら具体的な主張立証をしていないから、本件処分の適法性を認めることはできないと言わざるをえない。

二  右一の説示より、争点2、3について判断するまでもなく、原告の請求には理由があるから、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 鳥越健治 裁判官 遠山廣直 山本正道)

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